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姫路市医師会会員をモニターとする姫路市住民の気管支喘息発作調査

 大気汚染物質が疾病に大きく影響するのは、既に周知の事実である。特にアレルギー性疾患において近年その増加の一因として大気汚染が担っている可能性が指摘されている。動物実験においてオゾン、NO2,SO2,への暴露が気道反応性を亢進させることが報告されており、浮遊粒子物質SPMの主要成分であるディーゼル車の排出する微粒子DEPが、アレルギー疾患に極めて密接に関連しているIgE抗体の産生を高めるアジュバンド作用があると言われている。近年大気汚染源が工場から自動車に変化しつつある中、平成7年度より開始された気管支喘息発作の疫学調査は、時代に即した優れた方法であると考える。
 以下その調査方法並びに結果について報告する。


調査方法
(1)発作の年齢別、地域別区別

毎週気管支喘息発作(以下喘息発作)をモニター医療機関(表?U-1)にて年齢別(0歳、1-4歳、5-9歳、10-14歳、15-19歳、20-24歳、25-44歳、45-64歳、65歳以上)地域別(図?U-1)A地区ー市川、夢前川間、B地区ー市川以東、C地区ー白浜、八家、大塩、的形、D地区ー妻鹿、飾磨、E地区ー広畑、網干、F地区ー書写、青山、林田に分類したコンピューター(各医療機関に配布してある)の画面(表?U-2)に入力し、医師会にデーターを送り集計する。


(2)喘息発作の定義

 笛性喘鳴を伴う呼吸困難


(3)喘息発作の報告の実際

 ?@喘息発作を診察、問診または喘息日記にて確認する。 ?A通常の治療以外に新たに薬剤を加えた場合も発作とする。

 気管支拡張剤(β2刺激剤、キサンチン製剤)を屯用(内服、吸入、静注)または定期に新たに加えた場合。

 吸入用ステロイド剤、経口ステロイド剤を追加または増量した場合。

 小児の喘息に対して抗アレルギー剤を新たに加えた場合(但し喘息以外の症状のために投与した場合は除く) 

 ?B乳児で全く呼吸困難を伴わず、ゴロゴロと喘鳴を聴取するだけの場合は発作としない。但し、呼吸困難を伴い呼気性喘鳴を聴取または気管支拡張剤投与にて明らかに効果がある場合は発作とする。

 ?C日曜0時より土曜24時までの1週間の間に何回発作が起こっても1回の発作とする。(土曜日の夕方及び日曜日の午前中に発作があれば、各週にそれぞれ報告する。)

 ?D発作コントロール不良または重症にて度々あるいは常に笛性喘鳴を伴う呼吸困難がある場合は、毎週発作として報告する。

 ?E患者の年齢、地域を確認して報告する。(地域は学校、職場ではなく、住所地とする)

 ?F前週の発作の報告を火曜日午前中までに入力する


(4)調査期間

平成11年3月28日ー平成11年4月1日


調査結果
(1)地区別、月別、年齢別発作報告数

 (各週に対応する月日は、表?U-3の通りである。例:第1週は3月28日より4月1日まで) モニター医療機関から報告された総発作数は延べ12,078名であった。地区別、週別、年齢別の分類は表?U-4のようになる。各地区の主な業態は、概括的にいうと、A地区は商業、住宅、B地区は郊外地区、C地区は塩田跡工場地帯、D地区、E地区は工業、F地区は郊外地区である。


(2)地区別各週発作報告数

 A地区4,805名(図?U-2)B地区1,783名(図?U-3)C地区1,637名(図?U-4)D地区1,090名(図?U-5)E地区1,717名(図?U-6)F地区1046名(図?U-7)であった。いずれも秋に発作のピークが現れた。


(3)各年齢別各週発作報告数

 4週毎に各年齢別に発作報告数を集計し、1-4週(3月28日-4月24日)、5-8週(4月25日-5月22日)、9-12週(5月23日-6月19日)、13-16週(6月20日-7月17日)、17-20週(7月18日-8月14日)、21-24週(8月15日-9月11日)、25-28週(9月12日-10月9日)、29-32週(10月10日-11月6日)、33-36週(11月7日-12月4日)、37-40週(12月5日-1月1日)、41-44週(1月2日-1月29日)、45-48週(1月30日-2月26日)、49-52週(2月27日-3月25日)の各週群についてScheffeの検定を行った。 0歳の年間の発作報告数は424名であった。各週群間の発作数に有意差を認めなかった。

1ー4歳の年間発作報告数は3,610名であった(図?U-9)。29-32週は17-20週、21-24週、41-44週、45-48週、49-52週 に対して有意(P<0.01)に、33-36週は21-24週に対して有意(P<0.05)に発作数が多かった。

5-9歳の年間発作報告数は、2,470名(図?U-10)であった。29-32週は1-4週、5-8週、9-12週、17-20週、21-24週、37-40週、41-44週、45-48週、49-52週より有意(各々P<0.05、P<0.05、P<0.05、P<0.05、P<0.05、P<0.01、P<0.01、P<0.01、P<0.01、P<0.01)に発作が多かった(表?U-7)。

10-14歳の年間発作報告数は934名であった。29-32週は1-4週、17-20週、21-24週、37-40週、41-44週、45-48週、49-52週より有意(各々P<0.01、P<0.01、P<0.05、P<0.05、P<0.01、P<0.01、P<0.05)に発作が多かった。

15-19歳、20-24歳、25-44歳の年間発作報告数は各々215名、213名、1,151名であった(図?U-11ー図?U-7)。各々での各週群間の発作数に有意差を認めなかった(表?U-8ー表?U-14)。

45-64歳の年間発作数は1,555名であった。1-4週は17-20週に対して有意(P<0.05)に発作報告数が多かった。

65歳以上の年間発作報告数は各々1,506名であった(図?U-11ー図?U-7)。各週群間の発作数に有意差を認めなかった(表?U-8ー表?U-14)。

全年齢の年間発作数は12,078名であった。29-32週は、13-16週、17-20週、21-24週、41-44週、45-48週、49-52週より有意(P<0.05、P<0.01、P<0.01、P<0.01、P<0.01、P<0.01)に発作が多かった。

以上より1-4歳、5-9歳10-14歳の年齢層では秋に明瞭に発作のピークがあることを示している。


(4)各地区の汚染度

 各地区別の各週の二酸化硫黄、一酸化窒素、二酸化窒素、オキシダント、浮遊粒子状物質について示した(図?U-18ー図?U-38)。 A地区は八代局での測定値を、B地区は御国野局と豊富局の平均値を、C地区は白浜局の測定値を、D地区は飾磨局の測定値を、E地区は広畑局の測定値を、F地区は飾西局と林田局の平均値を、また全地区の値は(A+B+C+D+E+F)を6で割った平均値を示す。 各地区の測定値の年平均は、表?U-15に示した。

 これを各地区別に汚染度を順位づけると次のようになった。

   SO2 A>D>C>E=B>F NO D>C>E=B>A>F
   NO2 D>C>E>A>B>F
   OX A>B>E>F>C>D
   SPM D>C>A>E>F>B

D地区の汚染が目立ち、B、F地区での汚染は比較的少ないことが窺えた。


(5)大気汚染と気管支喘息発作との関係(図 )

 今年度は、大気汚染と気管支喘息発作との関係は全く一定の傾向が無かった。 しかし、過去5年間を通じて見てみると0歳と65歳以上でNO2と相関係数0.221と0.244で有意(P=0.0003 ,P=0.00007)に相関した。またSPMでは45-64歳で相関係数 -0.222(P=0.00031)、65歳以上で相関係数 ?0.238(P=0.00011)であった。この意義については不明である。


調査結果

 内科・小児科を標榜する197医療機関に調査依頼を行ない145医療機関より回答を得た。回収率は73.6%であった。期間中の患者数は表?V-3に示すように2,846名で前年度より207名(7.8%)も増加した。
 各地区別の喘息患者数をみたものを図?V-1に示す。 都市中心部であるA地区では人口密度が高いため報告された喘息患者も多く、1,146名で、全体の40.27%をしめた。次いで患者数の多いのはE地区498名(17.5%)、次いでD地区357名(12.54%)でいずれも工場地帯の地域であった。この患者数の多い3地区合計で患者数は2,001名全体の70.3%を占める。
 地区別人口と、人口一万人対受診者数表?V-4に示す。A、B、C、D地区で人工1万人対受信者数は62~68人、E、F地区で47~50人であった。
 A地区、B地区、C地区、D地区は、E地区、F地区に対して有意(P<0.01)に受信率が高かった。
 年齢別階層受診者数を図?V-2・表?V-5に、年齢別受診数を図?V-3に示した。 1~9才、70~84才に医療機関受診者数及び受診率が高く、思春期~壮年期にかけては、受診者、受診率が低い傾向を示した。20~24才での受診者、受診率は極端に低かった。
 平成11年度の10月3日~10月16日に喘息発作調査を行っている41医療機関を受診した発作患者数は合計675名で、患者数は1,653名(表?V-6)、全体に占める割合は1,653/2,846(58%)であった。




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