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新入小学生児童を対象とするアンケート調査

 姫路市の大気汚染が新入小学生の健康にいかに影響を及ぼしているか、アレルギー疾患を中心に調査した。また同時に公害調査とは直接関連しないが、食物アレルギー、薬物アレルギーの調査結果も記載した。さらに、タバコ、暖房の種類、居住期間、道路との関連についても調査した。


調査対象

姫路市の新入小学1年生全員 5,046名(図 )


調査方法
ATS-DLD(アメリカ胸部疾患学会肺疾患部会)日本版・改定版による問診票をさらに姫路方式で修正して用い(表?W-1)、各学校を通じて全新入生に配布し保護者に記入してもらった。記載が不備な場合は、保護者に再度依頼した。

調査結果(表?W-2)

調査回収数 5,041名で回収率 99.9%であった(図 )。 各校別の集計とともに、第2章で区分したA、B、C、D、E、F各地区に各校が主として含まれる地区に区分して分析した。
各疾患の定義は、(表?W-3)の通りとした。


(1)気管支喘息

気管支喘息の罹患率は、5.2%(男 5.8%、女 4.5%)(図 )
気管支喘息寛解率は、1.2%(男 1.2%、女 1.3%)
気管支喘息(重症)の罹患率は、3.6%(男 3.7%、女 3.5%)であった。
気管支喘息罹患率を各地区別でみると、A地区(市川・夢前間)4.9%、B地区(市川以東)6.0%、C地区(白浜・八家・大塩・的形)6.0%、D地区(妻鹿・飾磨)7.0%、E地区(広畑・網干)4.4%、F地区(書写・青山・林田)3.8%であった。D地区はE地区、F地区に対して有意(P=0.0237、P=0.0277)に罹患率が高かった。気管支喘息(重症)の罹患率は、A地区 3.1%、B地区 3.9%、C地区 4.2%、D地区6.0%、E地区3.1%、F地区2.7%であった。D地区は、A地区、E地区、F地区に対して有意(P=0.00199、P=0.00495、P=0.0128)に罹患率が高かった(図 )。 気管支喘息でアレルギー性鼻炎を合併 266人中132人(49.6%)(図 )
気管支喘息でアトピー性皮膚炎を合併 262人中99人(37.8%)(図 )


(2)アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎の罹患率は、9.6%(男 11.2%、女 7.9%)
アレルギー性鼻炎寛解率は、2.9%(男 2.8%、女 2.1%)
アレルギー性鼻炎の罹患率を各地区別にみると、A地区 10.0%、B地区 10.9%、C地区 11.1%、D地区 9.5%、E地区 8.4%、F地区 7.9%であった。しかし統計学的にはいずれの地域も有意差を認めなかった(図 )。
アレルギー性鼻炎で気管支喘息を合併 663人中132人(19.9%)(図 ) アレルギー性鼻炎でアトピー性皮膚炎を合併 663人中272人(41.0%)(図 )


(3)アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎の罹患率は、4.5%(男 5.1%、女 3.9%)
アレルギー性結膜炎寛解率は、4.5%(男 5.1%、女 3.8%)
アレルギー性結膜炎の罹患率を各地区別にみるとA地区 5.0%、B地区 4.1%、C地区 5.0%、D地区 6.2%、E地区 4.1%、F地区 1.8%であった。A地区、B地区、C地区、D地区、E地区は、F地区に対して有意(各々P=0.00318、P=0.0355、P=0.00694、P=0.00064、P=0.0240)に罹患率が高かった(図 )。


(4)スギ花粉症の疑い

スギ花粉症の疑いの罹患率は、8.0%(男 9.4%、女 6.7%)
各地区別にみると、A地区 7.8%、B地区 9.0%、C地区 8.9%、D地区 9.5%、E地区 7.3%、F地区 6.7%であった。しかし統計学的にはいずれの地域も有意差を認めなかった(図 )。


(5)アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の罹患率は、15.9%(男 15.4%、女 16.4%)
各地区別にみると、A地区 15.6%、B地区 16.9%、C地区 15.1%、D地区 18.5%、E地区 16.0%、F地区 12.6%であった。
D地区はF地区より有意(P=0.0112)に罹患率が高かった(図)。
アトピー性皮膚炎で気管支喘息を合併 799人中99人(12.4%)(図 ) アトピー性皮膚炎でアレルギー性鼻炎を合併 799人中272人(34.0%)(図 )


(6)蕁麻疹

蕁麻疹の罹患率は、24.1%(男 23.7%、女 24.7%)


(7)食物アレルギー

食物アレルギーの罹患率は、4.4%(男 4.4%、女 4.3%)であった。各食物別にみると卵は 121名( 2.4%)牛乳 47名( 0.9%)そば28名( 0.6%)かに 38名( 0.8%)えび 21名( 0.4%)かに・えび以外の魚介類 40名( 0.8%)やまいも9名( 0.2%)たけのこ5名( 0.1%)であった。


(8)薬剤アレルギー

薬剤アレルギーの罹患率は、2.3%(男 1.9%、女 2.8%)であった。
予防注射 48名(麻疹 5名、風疹 1名、おたふく 3名、三種混合 12名、日脳 14名、BCG1名、不明2名) 外用薬 5名
抗生剤 19名(パセトシン3名、エリスロマイシン2名、ケフラール2名、ミヨカマイシン1名、セプチコール1名、フロモックス1名、メイアクト1名、セフスパン1名、セフラコール1名、トミロン1名、バナン1名、セフゾン2名、その他8名)
解熱剤 1名
去痰剤 1名
ステロイド剤(サクシゾン) 1名
気管支拡張薬(ネオフィリン1名、テオドール2名)
分類不能(かぜ薬 10名、ぜんそくの薬 1名、歯科の薬 1名、市販の鼻炎薬 1名、耳鼻科の薬 1名)


(9)食物アレルギー・薬剤アレルギーの症状

(1)急に息が苦しくなる。 17名
(2)じんましん 439名
(3)アトピー性皮膚炎の悪化 139名
(4)嘔吐 60名
(5)下痢 32名
(6)口の中が痒くなる 29名
(7)その他 47名


(10)室内の犬、猫と罹患率

スギ花粉症の罹患率は、室内に犬または猫を飼育している児童、女児で有意(P=0.0112、P=0.0353)に少なかった。 気管支喘息、気管支喘息(重症)、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎のいずれの罹患率も犬、猫の飼育との相関はなかった。


(11)タバコ(室内で一日11本以上)と罹患率

タバコを一日11本以上室内で喫煙する家庭の児と11本以下の家庭の児とはいずれの罹患率も有意の差を認めなかった。


(12)暖房と罹患率

アレルギー性鼻炎(男児)、アトピー性皮膚炎(男児)の罹患率は、煙突なしが有意(P=0.0167、P=0.00142)に高かった。アトピー性皮膚炎(女児)では逆に煙突ありの方が有意(P=0.0157)に罹患率が高かった。 気管支喘息、気管支喘息(重症)、スギ花粉症の疑い、いずれの罹患率も暖房の種類には相関しなかった。


(13)居住期間と罹患率

気管支喘息ではD地区では3年未満の方が、6年以上より有意(P=0.0448)に罹患率が高かった。気管支喘息(重症)ではB地区で、3-6年、6年以上の方が3年未満より有意(各々P<0.001、P<0.001)に罹患率が高かった。D地区では3年未満の方が6年以上より有意(P=0.0279)に罹患率が高かった。スギ花粉症の疑いでは、A地区で3-6年、6年以上の方が3年未満よりも有意(P<0.001、P=0.0340)に罹患率が高かった。B地区では6年以上の方が3年未満、3-6年より有意(各々P<0.001、P<0.001)に罹患率が高かった。C地区では3年未満の方が6年以上より有意(P=0.0343)に罹患率が高かった。


(14)各地区の大気汚染と各地区の罹患率

第2章のA地区、B地区、C地区、D地区、E地区、F地区の各地区における平成10年度の大気汚染と気管支喘息、気管支喘息(重症)、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、スギ花粉症の疑いの各疾患における各地区での罹患率との関係について相関を求めたが、有意差を認めなかった。気管支喘息(重症)ではオキシダントと逆相関(R=-0.831、P=0.0043)した。アトピー性皮膚炎とNO2は有意(R=0.756、P=0.025)に相関した。アレルギー性結膜炎ではSO2とNO2に有意(R=0.901、P<0.001、R=0.761、P=0.0231)に相関した。


(15)国道2号線より100m以内の気管支喘息児

市川・夢前川間の国道2号線より100m以内に居住する新入小学生は 132名で、そのうち気管支喘息児は8名(6.1%)であった。これは、姫路市の気管支喘息罹患率 5.2% よりも多かったが、統計学的には有意差がなかった。

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