生涯の一時期にあまりにも多くの人が腰痛に罹患するので、これが正常であるとみなし、腰痛を起こさない人が異常であると提唱する学者もいます。イギリスの研究では毎年人口の2%が腰痛の医療を求めており、一生の間に70%の人に腰痛のエピソードがあることを示しています。
では、そんなに腰痛が多いのになぜ病院の診察室が腰痛の患者で一杯にならないのでしょうか? なぜ45歳以下で風邪についで二番目に多い病気に日本(60億)やアメリカ(600億ドル)は多額の医療費を費やさねばならないのでしょうか? 腰痛を治療するものがない国(例えばアフリカ)では腰部障害はないと言う学者もいますが、これもまさにそのとおりなのです。
我々整形外科医が述べることができる最も重要なことは、腰痛(一般的に言う脊椎性腰痛)は限定した経過をたどる症状であり(疾患ではない)その治療にはあまり費用はかかりません。又かけてはならないということでしょう。統計的にも腰痛患者の90%は2か月後に改善します。そして、改善する患者はその後2年間に60%は再発します。いずれにしても腰痛は何回も繰り返しやがて年をとるにつれて身体の柔軟性がなくなり、それが幸いなことに腰痛から守ってくれるようになるのです。
このように腰痛患者の大部分は症状が自然に軽快しますが、不運なことに一部は長期化したり障害を残したりします。このようなことがないように腰痛になれば専門医に適切な診断を受け、疼痛緩和を目的とした治療を受け、安静第一を考えるべきで、決して近道を考えないことでしょう。 ”待てば海路の日和あり”