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「心の健康と体の痛み」
体の痛みを訴えて、外来受診される患者さんは運動器疾患を扱う整形外科で多くみられます。しかし診察すると、検査所見と自覚症状の程度が著しくかけ離れている(解離)、また客観的な所見が存在しないにもかかわらず、麻痺や痛みが続いている方が時に見られます。このような患者さんは、心の健康を疑って、心療内科等へ紹介する事があります。心が原因で、痛みを訴える患者さんは、三つのタイプに分類されています。
1転換症状(かつてのヒステリー)、2うつ病、3慢性疼痛(持続性身体表現性疼痛)です。
転換症状は、かつてヒステリーといわれましたが、この言葉はまちがって解釈されていますので現在では使われていません。
フロイトが創始した精神分析学では、自我防衛のため、抑うつされた心の苦しさ(葛藤)を無意識に体の痛みや、身体的異常運動として転換されたものとされています。これはあくまで無意識に症状(痛み等)が生じるのに対し、詐病(さびょう−偽の病気)では、明らかに賠償や罪、労働から逃れる等の目的があって意図的に作られた症状です。
次に慢性疼痛と関連が深いのはうつ病です。うつ病では、気分が障害され興味と喜びの喪失・活力減退が中核症状ですが、うつ病に於ける痛みの出現率は高率です。頚部痛は、うつ病男性の56%、女性の65%でみられるとの報告があります。心の抑うつは痛みを増幅すると考えられており、逆に痛みの強さや持続は抑うつを悪化させます。
このように痛みと心は密接に連動しており、原因が明らかではない持続する痛み等は、主治医と相談の上、心療内科や精神科に紹介、又は受診されることが必要です。
うつ病が除外されても、慢性疼痛障害として治療されますが、この場合も抗うつ薬等で症状が改善されます。
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