スポーツ医学健康法

妊婦さんへの予防接種  −安全データなく慎重に−

 妊婦さんへの予防接種の原則を説明しますと、風疹や麻疹などの弱毒生ワクチン接種は禁忌とされています。接種された病原体が体内で増殖し、胎児に到達し感染する可能性があるからです。次にインフルエンザやA型肝炎、B型肝炎などの死滅、不活化ワクチンあるいは破傷風やジフテリアなどのトキソイドについては、これらは体内では増殖せず、したがって胎児へは感染しないので妊婦さんにも使用は可能と考えられています。インフルエンザの予防接種について、欧米各国ではその利益が危険性を上回ると結論を出しており、妊婦さんにも投与しているのが実際です。しかしながらわが国では、日本産婦人科医会は「国内での調査成績がまだ十分に集積されていないので、現段階ではワクチン接種によって得られる利益が、不明の危険性を上回るという認識が得られた場合にワクチン接種する、というのが適切ではないかと考えます」という主旨の声明を出しています。理論的には安全のはずであるが、国内での安全性のデータがいまだないから、はっきりしたことが言えないということです。ご理解ください。現在のところ、妊婦さんにワクチン投与を行った場合に生ずる特別な副作用の報告はなく、妊娠初期にインフルエンザワクチンを接種しても胎児に異状が出る確立が高くなったというデータもありません。